チャールズ・アトラスは、1920年代、腕立て伏せを中心としたダイナミック・テンション法という徒手でのトレーニング法で逞しい肉体を作り上げたボディビルダー、筋肉マンです。
少年期にガールフレンドと海辺で日光浴をしていた時、近くにいた屈強な男たちにひ弱な体を嘲笑されたことに屈辱感を抱き、身体を鍛えることに目覚めました。
その後、自身で開発したダイナミック・テンション法を使い、素晴らしい肉体を作り上げて、ボディビルの大会でチャンピオンになり、The World’s Most Perfectly Developed Man(「世界で最も完全に発達した男」)に認定されました。
その後、ダイナミック・テンション法をボディビルディングの通信教育講座として売り出し、世界中でヒットする商品になりました。
この商品の広告は、史上最長で最も記憶に残る広告キャンペーンの1つとして説明されています。
目 次
「進化のドラマ」の主人公はいつもあなた自身です!
人はどんな時に劇的に「変わる」のだろうか。
例えば、
・良書を読んで感銘を受けたとき。
・家族や友人の一言で感情が大きく揺さぶられたとき。
・仕事上の大きな悩みが発生したとき。
・病気の出現により生命の危険性を覚悟したとき
・人生の師匠(メンター)との出会いがあったとき
など。
きっかけは様々ですが、「変わろう」と決断を下すのは自分しかいない。
「進化のドラマ」
主人公は、いつもあなた自身です。
ここに、ライオンとの出会いで人生が一変した男の話を紹介します。
ひ弱で、もやしっ子が世界一逞しいマッチョマンに進化しました。
伝説の筋肉マン、チャールズ・アトラスです。
Wikipediaより引用
チャールズ・アトラスを語るために、先日、私は一人で動物園に行きました。
何のために?
ライオンやトラを観察するためです。
そして、約2時間、トラの前で粘ったかいがありました。
トラのストレッチング運動(伸び)を見ることができました。
ライオンのもあります。
実は、これ、今回お話しする筋トレとおおいに関係があるのです。
動物のストレッチ運動を見て、筋トレの新しい方法を発明した人がいました。
それが、チャールズ・アトラスです。
今回は、「世界で最も完全に発達した男」、チャールズ・アトラスの物語です。
Wikipediaより引用
チャールズ・アトラスのプロフィール
・1892年イタリア生まれ
・本名:アンジェロ・シシリアーノ
・11歳の時、家族とともにイタリアからアメリカ・ニューヨークのブルックリンに移住してきた。
・家族ともども、アメリカン・ドリーム夢見ていたが、現実は厳しかった。
・身体が貧弱だったので、近所のガキ大将によくいじめられた。
・ある日、女の子と海岸で日光浴をしていた。
・その時、体格の良い連中に取り囲まれ、貧弱な身体を馬鹿にされて、足で顔に砂をかけられた。
「ひ弱な坊や!そこをどきやがれ!」
「そこのかわい子ちゃん!そんなひ弱な坊やより俺たちと遊ぼうぜ!」
こんな状況でした。
・強い屈辱感を味わったが、どうすることもできなかった。
・後日、近所のブルックリン美術館に行き、ギリシャ神話のヘラクレスの彫刻を見て、身体を鍛える決意をした。
・学校の先生に、身体を鍛える方法を問うたところ、ウェイトリフティングを勧められた。
・しかし、お金がなかったので高価な器具は買えなかった。
・そこで、最初は、石と棒で作った手作りのダンベルでトレーニングをしていた。
・しかし、なかなか効果が出ないので、イライラが募っていった。
・そんなときに、彼のお気に入りの場所、ブルックリン動物園に行った。
・ライオンやトラを長時間観察していると、動物たちがストレッチ運動をしているのに気づいた。
前足を揃えて前方に出し、身体を後方に引いてスタティックストレッチ。
・「これだ! ライオンやトラはバーベルやダンベルを使うことなく、自分の身体を使って筋肉を発達させ維持している。人間だって同じことをやればいいんだ!」
・これが有名な「ダイナミック・テンション」の発明の瞬間だった。
・彼は自分の身体を使って筋肉に負荷をかける「ダイナミック・テンション」を使い、みるみる筋肉を発達させていった。
・素晴らしい身体になった彼を見て、友人たちは言った。
「やあ、チャーリー(彼の愛称)、君はアトラスホテルの屋根の上に飾られている『地球を背負うアトラス像』、あのたくましいアトラス(ギリシャ神話に出てくる人物) のようだ!」
・彼は、これを聞いて、「チャールズ・アトラス」と改名し、夢に向かって歩み始めた。
・先ずは、ニューヨークのコニーアイランドにあるサーカスや見せ物小屋で筋肉美と力技の数々を披露した。
例えば、
・逆立ちして腕立て伏せをした。
・電話帳を素手で引き裂いた。
・鉄棒を素手で折り曲げた。
・針のむしろの上に寝て、お腹の上に人を乗せて耐えた。
・数人の女性をおもりにしたバーベルを頭上に持ち上げた。
さらに、
・65.7トンの列車を鎖につないで素手で引っ張って動かした。
・有名な彫刻家に雇われ、75体の彫刻のモデルになった。
・1921年、ボディビルコンテストで優勝し、「世界で最も完全に発達した男」に認定された。
・ビジネスパートナーのチャールズ・ローマンと組んで、「ダイナミック・テンション」の通信教育コースを販売した。
・この通信教育、当時の価格で約3万5千円でしたが、大ヒットした。
Amazon.co.jpより引用
・おかげで彼は億万長者になった。
・1930年代から現代まで、世界中で3000万人以上の生徒がこの通信教育で学んだ。
・生徒の中には、政治家のケネディ大統領、ヘビー級ボクサーのロッキー・マルシアノ、野球選手のジョー・ディマジオ、更には、インドの聖人ガンジーもいた。
・この通信教育は今でも販売されている。(私も持っています)
・テレビ等にもたびたび出演した。
・アメリカで彼のことを知らない人は一人もいないというくらいの有名人になった。
・1972年に80歳で逝去。
さて、この「ダイナミック・テンション」の一番中心となる運動種目が「プッシュアップ」なのです。
つまり腕立て伏せです。
ただし通常のやり方とは違います。
通常というのは、テレビの「筋肉番付」とかで何百回連続でやるようなやり方です。
チャールズ・アトラスの方法は、いろいろなバリエーションがあります。
チャールズ・アトラスは、「ダイナミック・テンション」の中でも、「プッシュアップ」が一番重要な種目であると言っています。
「プッシュアップ」で「世界で最も完全に発達した男」に進化したのです。
これはのちに「アトラス・プッシュアップ」と呼ばれるようになりました。
では、次節では「アトラス・プッシュアップ」について解説していきます。
アトラス・プッシュアップの効果的な方法
「世界で最も完全に発達した男」、チャールズ・アトラスが行っていた方法です。
【やり方】
1.食卓テーブルの椅子を2脚用意する。
2.写真のように50センチ程度離してセットする。
3.両手をそれぞれの椅子におく。両脚はそろえて床面におく。
4.息を吸いながら、ゆっくりと確実に腕を曲げ、身体を椅子と椅子の間に沈める。
5.息を吐きながら、再びもとの姿勢に戻る。
6.常に大胸筋の収縮を意識しながら行う。
7.動作の最中は、下背を守るために腹とおしりを常に緊張させておく。
8.絶対に息を止めないこと。
これを、自力で限界の回数を行う。
チャールズ・アトラスによれば、毎日行うようにと言っています。
さらに、私が行っているやり方を紹介します。
【バリエーション】
椅子の設置幅をかえて、手幅を変えて行う。
標準、広げる、狭める など。
大胸筋に効く位置が変わるのが実感できます。
また、狭めるほどに、上腕三等筋に効いてきます。
さらに、
【強度を高める方法】
その1 スロートレーニングで行う
・3秒で下ろして、3秒で上げる。
・5秒で下ろして、5秒で上げる。
・スーパースローで行う。つまり10秒で下ろして、10秒で上げる。
その2 ノンロックで行う
身体を上げきったとき、肘を完全に伸ばさない。
つまり肘をロックしない。そしてすぐ下ろす動作に移る。
肘を伸ばしきらないことで、大胸筋の緊張が途切れるのを防ぐ。
その3 脚の位置を変える
もう1脚椅子を用意して、その上に両脚を載せて行う。
さらに、強度を高めるには、さらに高い位置に足を置く(テーブルなどに)
その1・2・3を同時に行うと、無茶苦茶強度が高まります。
このやり方だと、力の強い人でも、数回しかできないでしょう。
私は、5~6回×2セットを週2回行っています。
これだけで十分効果を上げています。
腕立て伏せを数百回こなせる人がいます。
しかし、「筋肉をたくましく発達させる」という目的に限れば、回数をこなせても目的を達成することはできません。
従来の床面に手をついてやる方法では、大胸筋が十分収縮しないからです。
また、身体を上げきったときにひじを完全に伸ばしてしまうので、大胸筋の緊張が解けてしまっているのです。
通常のやり方でしかやったことのない方は、ぜひ、「アトラス・プッシュアップ」を試してみてください。
通常のプッシュアップとの違いがわかると思います。
それで、この「アトラス・プッシュアップ」
・マッスルコントロールして
・筋肉に効かせながら
・スーパースロートレーニングで行う
をやるとあなたもチャールズ・アトラスになることが可能です。
「世界で最も完全に発達した男」のトレーニング
スーパースロートレーニングでアトラス・プッシュアップ
まとめ
今回の記事を書いて、私は思いました。
「人間は、視覚、聴覚、その他いろいろな感覚を使って得た情報を一番効果的に使える」
ということです。
だから、得た情報を効果的に使うために、私は、この目で確かめたかったのです。
チャールズ・アトラスが見てひらめいたという動物のストレッチ運動を。
それにしても、間近で見るトラは迫力がありました。
機会があったらぜひ皆さんも動物園で見てください。
そして、私と友人との会話にご注目!
友達:「腕立て伏せをやるだけで、そんなすごい身体になれるの?」
私:「やり方次第でなれるよ」
こんな会話を今まで何度したことか。
でも本当に、やり方次第ですごい身体になれるのです。
チャールズ・アトラスは偉大です。
ダイナミックテンション法はスロートレーニングで行うとその効果が倍増します。
ぜひあなたも実践して「違いをもたらす違い」を実感してください。